鉄壁システムのご紹介
日本製鉄グループであるNSハイパーツ株式会社の全面協力を受けて
千葉県にあるマツイ社と共同で新しい建築システムを開発しました。「鉄の壁」で作られることから、この名称になりました。
2022年現在、2棟が完成して、2つのプロジェクトが進行中です。
正式名称は薄板軽量形鋼造。一般名はスチールパネル構造(スチールハウス)です。
「丈夫な建物を建てるなら鉄筋コンクリート造が一番。」
それが常識でした。でも本当にそうでしょうか。
建物は重くなればなるほど、大地震時に受ける力も大きくなります。(自重の影響を受けます。)
ーーーもし、軽く、硬い建物を作ることができたらーーー
NSSF工法は、2x4の木材を鉄に置き換えたところから始まり、
「面」で地震力・風圧力に対して抵抗します。
そして、構造基準は「木造」よりも厳しい「鉄骨造」のものが適用されます。
設計段階において、耐震壁を適切な位置に配置。
基本は1階から4階まで同位置に入る「連層耐震壁」です。
平面プランニングは非常に難しいものになりますが、基本設計段階で設計者とパネルメーカーが協議を重ねることで、
「住みやすい間取り」かつ「無駄のない構造体」を実現します。
鉄筋コンクリート造の建物でも、不整形なものは、一部に集中して力が掛かり、それ以外のところには、あまり力が掛かっていません。
柱際にスリットを切ったコンクリート壁は地震に耐える役割を果たせず、重量を増やし、地震時に負担を増加させるだけの存在です。
軽い材料を用いて、設計段階から構造的なバランスを考え、全ての耐震壁が役割を分担する。
自動車の様なモノコック構造として建物を構成する。
こうすることにより、「最小限の鋼材」で「強固な建築物」を作ることができます。
床パネル・壁パネルに使われる部材は、物件ごとに設計図をもとに、「鋼板を切り出して」工場で作られます。
既製品の柱を切って余った部分を捨てるということはしておらず、廃棄物がほとんど発生しません。
外断熱構造ですので、省エネ性能も最高レベル。(断熱材の厚みをあげるだけで断熱性能を上げることができます。)
サステナブル・低炭素といった、社会の要請にも正しく応える、最も優れた工法です。
ーーー鉄筋コンクリート造を超えて行く---
2021年、プロトタイプの2棟の建築が始まり、2022年4月までに2棟とも完成しました。
体感的には、建物外の音に対しても、隣戸からの音に対しても、非常に遮音性が高い物件になりました。
今後、計測を行い、不足する点は改善した上で、鉄筋コンクリート造の物件よりも性能で上回る仕様を目指して行きます。
2022年8月、1棟目の物件の入居者様に感想をお伺いしました。
遮音性や断熱性など、体感経験をお聞きして、設計で意図した性能が出ていることを確認できました。
ーーーコストはどの工法よりも安くーーー
昨今の資材高騰で厳しい環境が続きそうですが、ここからなるべく上がらない様に、工程の無駄をなくすなど、
性能に影響を与えないところで工夫も続けて行きます。
今、東京23区内で、この規模の共同住宅を重量鉄骨造・鉄筋コンクリート造で建築すれば、坪150万円程度は掛かります。
(地盤改良や外構、インフラ引き込みなどを全て含み、一般的なマンション設備を全てフル装備したコスト。)
それらよりも2割程度安くできる価格を目指しています。
次々、計画中止になる物件が出る中、この工法が「収益事業」にとっての助け船となるはずです。
木造耐火構造と比較した場合、建築単価は同程度ですが、4階建を建築できる敷地においては、これがベストな工法です。
重量鉄骨でもない、軽量鉄骨でもない、第三の鉄骨造である薄板軽量形鋼造。
2001年に鉄骨造の1タイプとして建築基準法関連告示に追加されました。
2012年の告示改正を受けて、4階建の耐火建築物も建築できるようになりました。
プロトタイプ1棟目建築中の様子。見た目で分かる丈夫な構造です。各階はお互いを直径32-36mmのボルト数十本で繋いでいます。
地震力や風圧力を面で受けて、分散する事により強度を発揮する。自動車や飛行機のフレームが採用しているのと同様のモノコック構造体です。
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