最近考えていること
ようやくホームページの形も整いました。(2002年9月2日)
ところで、世で「欠陥住宅」と呼ばれるものが溢れていますが、そのほとんどは、
建築士に設計を頼んでいない住宅なのですが、みなさん御存じでしょうか。
設計をおろそかにした人には当然のむくい・・・と言いたいところですが、そうも
いかない事情があります。
御存じも何も、建築士の団体である建築士事務所協会や建築士会がその様なアピールを
ほとんどしていないので、一般の方には知られていなくて当然です。だから、もし、
被害に会われた方がいたら、メールで良ければ相談に乗ります。
大手住宅メーカーだろうと、地場の工務店だろうと、通常、そういった工事会社に直接
建築を頼むと、建築士は設計しません。工事会社の営業担当が間取を考えて、設計事務所
には「確認申請だけ取って」と言う流れがほとんどです。
建築士がお施主さんのために一生懸命設計した家ならば、設計上は欠陥住宅にはなりません。
問題は工事会社の大小を問わず、素人が設計してしまっている家がとても多い事なのです。
次に、設計事務所を通さずに、工事会社に全てをおまかせの場合、監理は誰がするのでしょ
うか?
監理・・・これもあまり知られていない言葉ですが、これも建築士業界のアピール不足です。
ある大きさの建物(2階建程度の住宅より大きければ、ほとんどの建物)については、建築士
が監理を行わなければならない事になっています。
監理者となった建築士は、建築士法により、工事が設計図通りでない時には、それを注意し、
施工者が従わなかった時には、建築主に報告しなければなりません。
全てを施工者におまかせの住宅では、監理者も施工者が連れて来ます。そんな監理者が建築主
と施工者のどちらを大事にするか、明白ですよね。
そこで欠陥住宅は生まれるのです。もっと分かり易い例を書きますね。
例えば、建設会社Aが建売住宅を企画して工事が始まりました。そこに監理者Bも定められて
いたとします。そして、その建売住宅の建築主は建設会社Aでした。
建築主=建設会社A=施工者、そして第三者の監理者(建築士)です。
もし、この建売住宅の工事中に手抜工事が判明したとしたらどうなるでしょう?
監理者は施工者に注意を与え、これに従わない時は建築主に報告する。
これに何の意味があるのか・・・監理者の報告先は全て建設会社Aです。手抜工事をしている
人に「手抜してるね。」と伝えるだけ。
もしかしたら、販売者C=建築主で、施工者とは別にいるかもしれません。でも、販売者Cは自分
で住む家じゃないのだから、施工者に対して、「手抜してでも安く仕上げろ!外観だけは立派に!」
と言うかもしれませんよね。
建売住宅は商品である以上、安く仕入れて高く売られる宿命にあります。
知り合いの不動産業者さんの中には、しっかりと作った上で、妥当な利益しか上げない会社さんも
あります。しかし、そんな「良い人」というのは、世の中のごく少数派なのですよ。
だから欠陥住宅が耐えないのです。
大手住宅メーカーに頼めば安心?
ホームページで住宅メーカーの名前と「欠陥」というキーワードで検索してみて下さい。数多くの
ホームページの残骸が見つかります。告発ページの、なんらかの・・・理由で閉鎖された跡です。
そして、いくつかの、「まだ」閉鎖されていない、戦っている最中のページも見つける事が出来ます。
(残念な事に、欠陥ではないものを騒ぎ立てて結果的に恐喝してしまっている様なページも少数です
があります。メーカーに少しだけ同情します。)
住宅メーカーで家を建てるのなら、どんな資格を持った誰が設計(打ち合わせ・作図)をして、誰が
現場管理をするのか、そして、監理者は誰か?全て納得した上でなければ、良い家がたつ保証はどこ
にもありませんよ。
打ち合わせは無資格の営業マンがやって(違法です。設計を業とするには建築士の資格が必要です)
監理は施工会社の課長だか部長が名前を貸すだけで現場は見ない。工事自体は下請けに任せっぱなしで、
施工会社の人間は現場にはほとんど来ないか、現場の分かっていない人間が来るだけ。
そんなケースも多々あるのですよ。
下請けのレベルにより、運が良ければ欠陥住宅でない家(良質とは言いませんが)は建ちます。
そして、事実、住宅メーカーは少しでもクレームの出ない下請業者を探す努力はしていますが、良い
業者に当たるかどうか、みなさんに選ぶ権利はありません。
全ての住宅メーカーがそうだとは言いませんが、少なくとも、とても大きな住宅メーカー2社はそう
いう会社ですよ。
いつか、住宅の世界も、きちんと有資格者が設計を行い、監理を行い、限り無く欠陥住宅が減る様に
なる事を信じます・・・最近の住宅メーカーの進出ぶりに少し絶望もしつつ・・・。
向井 一郎