マンションの内覧会同行サービス
分譲マンションを購入した方が、内覧会に建築士を同行させるのが流行
している様です。
知人から、その業務をしてくれないか、と頼まれた事があります。なんでも、
お隣さんが建築士を連れて来るから、自分も建築士を連れて行かないと不安
になったとか。
もう契約してしまった物件を見せられても、何も出来ないので、業務として
費用を頂ける様な作業は発生しない事を伝え、まあ、新居を見学させて貰い
ますという形にして無償で見る事にしました。
こんな業務がある事が、何の為なのか、良く分かりません。契約が済んだ後
に連れて行かれても何も出来ないと思うのですが・・・クロスや床の傷は、
建築士より、実際にそこに住む人の方がずっと良く見えます。専門知識は何も
発揮出来ません。
実際に見た感想ですが、柱を水道管が貫通していました。また、総タイル張に
見えるのですが、手の届かない部分(補修する場合に足場が必要になる)に
吹付の部分の外壁があったり、経年した場合に、必要以上に修繕費が掛かる
様な造りになっていました。
間取り図を見せて貰った時点で、住戸とパイプスペースの間に大きな柱が
あったので、「給水どこ通ってるんだろ?」と思ってはいたのです。
デベロッパのサイトを見ると、コストを掛けずにバリアフリー構造を取る
画期的な工法を積極的に採用しているとの事でしたが、その工法だと、柱を
水道管が貫通してしまう事が多い様です。
一応、それらの所見をまとめてレポートにし、結果として、「築10年位は
通常の価値ですが、修繕が発生し始めた時期から、負担の大きい物件になる
ので、経済的にはその辺りで住み替えするのがお得ですよ。」と伝えました。
新築マンションを購入した直後のご夫婦に言うのには勇気がいりましたが、
「なんでも気付いた事は言って下さい!」と言われ、上記の様なコメントを
まとめました。
契約前に建築士に見せるのなら大賛成です。
マンションを設計監理した事のある一級建築士に見せるのなら、とても有益
な事だと思います。
ちなみに、最初に出て来た「お隣さん」が連れて来た建築士は、表面上の事
だけを見て行っただけで、構造図すら見なかったそうです。
ビー玉を転がして行ったって、何も分かりませんよ。契約してしまった後に
ビー玉が転がったって、相当な勾配が無い限り、違法にはならないんです
から。(これも、契約する前に転がすなら意味があります。)