床面積のはなし(その1)

 

ところで「床面積」です。


これも、分かった様で、実は分かっていない方がほとんどです。

床面積は分類すると、以下の様に分ける事が出来ます。


A.住戸専有部
B.建物内部にある階段・廊下・エントランスホールなど
C.エレベータ
D.配管を隠す為に壁で囲んだパイプスペース
E.外部にむきだしの配管(雨樋など)


A~Dまでを合計したものが「法床面積」です。


「容積率」を算出する際には、
「A+C+D」の面積を「敷地面積」で割った数値が
使われます。


Eに着目して下さい。
壁で囲まれたパイプスペースは「容積率」を食ってしまいますが、
むきだしの配管は「容積率」を食いません。

マンションの設計では容積率の限度まで建物を計画した上で、
その中の使える面積をどれだけ確保するかが最大のポイントです。



容積率を無駄に食い潰す様な計画をしない事!



これが重要なのです。



前回のコラムと重複しますが、参考の為に書いておくと

F.外階段・外廊下・バルコニー

これを法床面積に加算したものが、一般的な施工床面積となります。


Fは絶対に必要な部分ではありますが、
少しくらい大きくしたとしても建築費が大幅にアップする物ではない。

ここが営業トーク的に重要なのです。




バルコニーの奥行きを少し増やせば
施工床面積はいきなり大きくなります。





例えば、各階に間口3mの住戸が5戸並んだ時の事を考えてみましょう。
バルコニー全体の幅は15mになります。
そのバルコニーの奥行を30センチだけ大きくしたらどうなるでしょう?


15m x 0.3m = 4.5m2 = 1.36坪


1.36坪分「施工床面積」は増えます。
しかし、これを実現する為に必要なのは
15m x 0.3m x 0.2m = 0.9m
鉄筋コンクリートだけです。
両袖壁部分がありますから、約1m程度。


10階建のマンションだったらどうなるでしょう?


このバルコニー延長だけで、施工床面積は13.6坪増
坪単価が80万円の物件であれば、1000万円以上分の工事として
お施主様に提示出来ます。
掛かるコストは、ほぼ10m程度分の鉄筋コンクリート代金だけです。


これが「坪単価」が一般の方にとって分かりにくくなっている事のカラクリです。


誰だって、お客様に「高い」とは言われたくないです。
法床」で提示すれば坪100万になる建物が
施工床」で提示すれば坪80万と言えるのです。
「高いわね」と言われそうだと思えば、バルコニーの奥行を調整するだけで
坪単価は下げる事が出来るのです。
そんな便利な「施工床」という表現を、採用しない理由がありません。


しかし、このカラクリがオーナーさん達を「真実」から遠ざけてしまっているのです。



次のコラムからは意味の無い「施工床面積」は使わず「床面積=法床面積」として
統一して使っていきます。


前ページへ つくりかたトップへ戻る 次ページへ
当社の業務案内はこちら