間取り作成講座 (第2章)さまざまな制約

<さまざまな制約>

敷地に対してどれだけ大きな規模の建物を建築出来るか?
それを知る事から
プランニングは始まります。まず、次の手順で調べて下さい。

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1.敷地のある地方自治体(市役所・区役所もしくは都道府県庁)に
電話して、「用途地域を教えてくれる部署に回して下さい」と頼みます。
電話をかける先が違った場合は、どこにかければ良いのかを教えて貰います。


2.担当の部署に繋がったら「用途地域を教えて下さい」と尋ねます。
そしてそれを聞いたら、「住宅を建築する際に何か特別な制限はかかって
いますか?」と聞いて下さい。

これを調べる際には、敷地の住居表示(住所のこと)が必要になりますので、
あらかじめ電話の前に用意しておいて下さい。


 以上で、敷地に関する制限の情報が得られます。
 その内容については、次に読み進んで下さい。




用途地域とは?

 それぞれの地域にふさわしい建築物が建つ様に定められているのが、
「用途地域」です。大きくは、「住居系・商業系・工業系」と分かれており、
それぞれの地域には建築物の用途に対する制限があります。商店や工場は、
一定の条件を満たすものでなければ住居系の地域には建てられませんし、
住宅は「工業専用地域」には建てられません。

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建ぺい率・容積率

 住宅を建てる際に、その規模を平面的に制限するものが、
「建ぺい率・容積率」です。

 建ぺい率はその敷地に対して何%の部分に建築をしても良いか、
また、容積率は、各階の面積の合計が敷地の面積の何%まで建築して良いのかを
表しています。

 この際、役所で聞いた数値はそのまま使えない場合もあります。
 例えば、敷地が角地である場合には、建ぺい率は10%加算出来ます。
 また、道路の巾に下に書いてある 係数を掛けてみて下さい。

○用途地域の名称に「住居」の文字が入っている場合、
 道路巾(m)×40%

○用途地域の名称に「住居」の文字が入っていない場合、
 道路巾(m)×60%
 もし、この数値が役所で調べた容積率よりも低い場合、容積率はこの道路幅
から求めた数値となります。

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(住居系地域の場合)


☆「建ぺい率」とは「建築面積」/「敷地面積」
 「容積率」とは「延べ床面積」/「敷地面積」
  で表されます。

 役所に問い合わせた時に分かる「建ぺい率」「容積率」とは上限値のことで
あり、実際にはその範囲内で設計しなければなりません。

 建築面積とは、全ての階(2階建の場合には1階と2階)を上から見て、
一番出っ張っている外壁で囲まれた部分の事です。
 易しく言えば、2階が1階よりも小さい下の図のような場合には、建築面積は
1階の床面積である80m
2になります。

 延べ床面積とは、全ての階の床面積の合計であり、下の図で言えば、
 80m
2+60m2=140m2
 となります。

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斜線制限

 人々は日差しを得る権利(日照権)を持っています。
 その権利を守るためにある制限が「斜線制限」です。
 建ぺい率・容積率では、平面的な制限により住宅の規模を制限されていました。
 斜線制限では、「建物の高さ」の制限により住宅の規模を制限しています。



 3階建程度までの住宅を考える際に必要な斜線制限は以下の二つです。

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これらの斜線を越える建物を建築することは出来ません。


 「道路斜線」は、建物が林立し、道路が暗く閉鎖的に
なってしまう事を防いでいます。

 敷地から見て、道路の反対側の道路面の高さから、
距離1Mに対して1.25Mの勾配で高さに対する制限が
かかります。

 つまり、道路の巾が4Mだった場合には、敷地内の道路際では
 4×1.25=5M
 の高さに斜線が来ている事になります。
 これを超える高さの建物は、建てる事ができません。

 (※住居系以外の用途地域の場所では1M:1.5Mになります)


 また、「北側斜線」は敷地の北側にある「お隣さん」に対して、
南向きの日当たりを確保するためのものです。
 第一種低層住居専用地域・第二種低層住居専用地域では、
北側の隣地との境界の位置で5Mの高さ、
そしてそこから距離1Mに対して1.25Mの勾配を足した高さが
建物を建てられる限度の高さとなります。


 また、上記2つ以外の用途地域でも首都圏などの人口密集地においては、地方自治体が
独自に「高度地区」を定めて、北側斜線と同じ様な制限をかけている場合がありますので
注意して下さい。

 用途地域を調べた時に「○○地域・建ペイ○○・容積○○」の後に「第△種高度」
という返事が返って来る場合があります。この「第△種高度」の部分が北側斜線と
同じ様な内容になっているのです。


(この章でお話した「建築面積」「延べ床面積」などは、
「外壁の中心線で囲まれた部分」で計算しますが、このホームページを参考にして
住宅のプランを作成する際には考える必要はありません。)