設計の基本 (第2章)坪単価のはなし

「この建物は坪単価○○万円です。」
kentikueigyo


こう聞いて、誰もが分かった気になります。
でも、その坪単価は、何の値段なのでしょうか?

実は、坪単価を算出する際の「建物の床面積」には
2種類あります。

一般的に「
法床面積」と呼ばれるものと、「施工床面積」と呼ばれるもの。



法床面積」とは、
建築確認申請を行政等に提出する際に用いる「建築基準法による面積」です。
建築士や行政の担当者、建設会社の実務者が使います。

施工床面積」とは、
事業者が利用する言葉で、「
法床面積」に色々な面積を足した面積です。
営業マンが使う用語とも言えるかもしれません。
施工床面積には、
最低でも「法床面積」に対して、外部バルコニー、外階段、外廊下などの
面積が加算されます。
業者によっては、その上に、「ポーチ面積」「ルーフバルコニー面積」等を
加算する事もあります。

法律で定められた用語ではないので、使われ方は様々で、
同じ建物でも算定の仕方により施工床面積」は違う数値となってしまう
のです。




つまり
施工床面積を元に算出した坪単価は、知っても何の意味もありません。
業者により、どの部分の面積まで入れるかも決まっていないので、
比較の対象にも使えません。

更には、実際に入居者が使える部分は、
法床面積」の大きさで決まります。
施工床面積でふかされている部分の面積は
「若干の贅沢さ」を演出する事はあっても、
大きな収入には結びつきません。

さて、みなさんがお聞きになっている「坪単価」。
何を元に算出したものでしょうか?

多くは「
施工床面積」から算出したものの筈です。

理由は、
割安に見せる事が出来る = 営業的に聞こえが良いから。

「営業的な聞こえ」を基準に物を考えていては、オーナーの為の建築は出来ません。

まず、
「法床面積」で物を考えること!

これを一番最初に肝に銘じて行きましょう。